早期発見の重要性
先端巨大症には適切な治療を
無治療の先端巨大症の患者さんは、健康な方と比べると死亡リスクが2~3倍高いとの報告があります。糖尿病や高血圧などの合併症が起こりやすいこと、合併症が悪化して、心筋梗塞などのような大きな病気にかかる可能性が高いことなどが原因だといわれています。
適切な治療を受けることで、死亡リスクを健常者とほぼ同じレベルにまで下げることができると報告されています。
早期発見の重要性
先端巨大症の治療を行うと、死亡リスクを健康な方と同程度に抑えることができる、といわれている一方、症状の程度によっては、治療を行っても合併症が十分に改善できないことがあります。
以下に、早期発見が重要となる症状の例を紹介します。
①睡眠時無呼吸症候群
先端巨大症の症状が進行していると、治療をしても大きくなった舌や軟部組織の増殖による気道の狭窄が完全には正常化しないことがあります。
その場合、睡眠時無呼吸症候群の治療が難しくなりますので、先端巨大症は早期に発見し、早期に治療することが重要です。
②心臓の病気(弁膜症)
先端巨大症の患者さんの60~90%は、心臓の左心室や右心室が肥大化してしまうため、弁膜症にかかってしまうといわれています。
弁膜症は先端巨大症を治療した後にも症状が残ると報告されています。弁膜症の発症、進行を予防するためには、先端巨大症を早期に発見し、早期に治療することが重要です。
③生活の質(QOL)の低下
先端巨大症の患者さんは、健康な方と比較すると、治療後であっても生活の質(QOL)が低下していることが報告されています。
特に、治療をしても十分な成果が得られなかった場合、見た目や体の機能に対する不満、意欲の低下や心理的な不安などから、生活の質(QOL)に満足できなくなってしまうことがあります。
先端巨大症の症状が軽度なうちに適切な治療が得られるよう、先端巨大症を早期に発見、早期に治療することが重要です。
- 参考文献
- 1 吉田尚弘、内分泌・糖尿病・代謝内科、2011;33(3):187-193.
- 2 木下祐加、内分泌・糖尿病・代謝内科、2011;33(3):194-198.
- 3 山田正三、内分泌・糖尿病・代謝内科、2011;33(3):229-234.
用語集
- 【睡眠時無呼吸症候群】
- 10秒以上の気流停止(気道の空気の流れが止まった状態)を無呼吸とし、無呼吸が一晩(7時間の睡眠中)に30回以上、もしくは1時間あたり5回以上あれば、睡眠時無呼吸です。日中の強い眠気や大きないびきなどの症状がみられます。放っておくと高血圧症、糖尿病、脂質異常症、不整脈、狭心症、心筋梗塞、脳卒中など様々な病気が引き起こされます。